【知らないと失礼】お葬式への胡蝶蘭|専門家が教える供花マナー

突然の訃報に際し、深い悲しみとともに「お悔やみの気持ちをどのように伝えればよいのだろう」と、戸惑うことはありませんか。

特に、心のこもったお花を贈りたいと考えたとき、「お葬式に胡蝶蘭を贈っても失礼にあたらないだろうか?」という疑問が頭をよぎるかもしれません。

ご安心ください。
胡蝶蘭は、正しいマナーさえ守れば、お悔やみの気持ちを伝えるのに非常にふさわしいお花です。

私はこれまで15年以上にわたり、5,000件を超えるお悔やみのお花選びに携わってきました。
その経験から断言できるのは、故人への敬意とご遺族への配慮がこもった胡蝶蘭は、他のどんなお花よりも深く、静かに、そして温かく、あなたの弔意を伝えてくれるということです。

この記事を最後までお読みいただければ、胡蝶蘭を贈る際の相場や選び方、タイミング、そして最も間違いやすい「立て札」の書き方まで、すべてのマナーを完璧に理解できます。

もう迷うことはありません。
故人を偲ぶ大切な気持ちが、ご遺族にまっすぐ届くよう、専門家として心を込めて解説します。

フラワースミスギフトさんの以下の記事も参考になります。

お葬式にふさわしい胡蝶蘭の選び方|マナーや注意点も徹底解説

目次

なぜお葬式の供花に「胡蝶蘭」が選ばれるのか?

数あるお花の中で、なぜ胡蝶蘭がお悔やみの場にこれほどまでに選ばれるのでしょうか。
それには、見た目の美しさだけではない、深い理由があります。

理由1:お悔やみの場にふさわしい花言葉

白い胡蝶蘭には「清純」や「純粋な愛」といった花言葉があります。

故人の清らかな人柄を偲び、ご遺族の悲しみに静かに寄り添うその花言葉は、お悔やみの気持ちを代弁してくれるかのようです。
言葉では伝えきれない想いを、胡蝶蘭がそっと届けてくれます。

理由2:上品で格式高い見た目

凛として咲く胡蝶蘭の姿は、非常に上品で格式高い印象を与えます。
厳粛な葬儀の場にふさわしい品格があり、祭壇を厳かに、そして美しく彩ってくれます。

私が現場で見てきた中でも、胡蝶蘭が一つあるだけで、その場の空気がより一層引き締まり、故人を敬う気持ちが高まるのを感じます。

理由3:長く咲き続け、ご遺族の手間もかからない

胡蝶蘭は非常に花持ちが良く、環境によっては1ヶ月以上も美しい姿を保ちます。

葬儀が終わった後も、ご自宅で「後飾り」として長く故人を偲ぶことができます。
また、頻繁な水やりが不要なため、心身ともに大変な時期にあるご遺族の手を煩わせることがありません。
このご遺族への配慮こそが、胡蝶蘭が選ばれる大きな理由の一つです。

理由4:香りが少なく、花粉が飛ばない配慮

お葬式の場では、様々な方が集まります。
胡蝶蘭は香りがほとんどなく、花粉も飛びにくいため、香りが苦手な方やアレルギーをお持ちの方にも安心です。

閉め切った斎場やご自宅でも、安心して飾っていただける心遣いができるお花なのです。

【基本マナー】お葬式に贈る胡蝶蘭の相場と選び方

お悔やみの気持ちを表す胡蝶蘭ですが、どのようなものを選べばよいのでしょうか。
ここでは、失礼にあたらないための基本的な選び方と相場観について解説します。

関係性で決まる胡蝶蘭の費用相場

胡蝶蘭の価格は、主に花の数(輪数)や本数(〜本立て)によって決まります。
故人との関係性に応じて選ぶのが一般的です。

贈り主関係性費用相場一般的な胡蝶蘭
個人親族、友人、知人15,000円~30,000円3本立て
法人取引先など20,000円~50,000円3本立て~5本立て

あくまで目安ですので、無理のない範囲で、弔意を表すことが最も大切です。
特に親しい間柄であった場合は、相場以上のものを選ぶこともあります。

色は「白」が基本!淡い色は避けるべき?

お悔やみの場で贈る胡蝶蘭は、「白」を選ぶのが最も確実で、正式なマナーです。
「白上がり」と呼ばれる、白一色で統一されたものが、故人を偲ぶ清らかな気持ちを表すのに最適です。

ピンクや、「赤リップ」と呼ばれる紅白の色合いのものは、お祝い事を連想させるため、お葬式の場では絶対に避けなければなりません。

輪数(花の数)は奇数が良いとされる理由

日本では古くから、割り切れない「奇数」は縁起が良いとされてきました。
この慣習は慶事だけでなく弔事にも用いられることがあり、胡蝶蘭の本数も3本立てや5本立てといった奇数が好まれる傾向にあります。

輪数(花の数)については、多ければ多いほど豪華になりますが、一般的には3本立てで30輪前後のものがよく選ばれます。

鉢植えはNG?地域の慣習や斎場のルールを確認

「鉢植え」は「根付く」ことから「寝付く」を連想させるため、お見舞いなどではタブーとされています。
この考え方から、お葬式でも鉢植えを避けるべきという意見もあります。

しかし、最近では花持ちの良さから、葬儀後にご自宅で飾れる鉢植えの胡蝶蘭を受け入れるご遺族や斎場も増えています。
ただし、斎場によっては持ち込みが禁止されている場合もあるため、必ず事前に葬儀社や斎場に確認するようにしましょう。

失敗しない!胡蝶蘭を贈るタイミングと手配方法

心を込めて選んだ胡蝶蘭も、タイミングを間違えては台無しです。
ここでは、いつ、どのように手配すればよいのかを具体的に解説します。

訃報を受けたら、まず確認すべきこと

訃報を受けたら、まず以下の情報を正確に確認しましょう。

  • 故人のお名前、喪主のお名前
  • 通夜、告別式の日時と場所(斎場名、住所)
  • 宗教・宗派(不明な場合は葬儀社に確認)
  • 供花を辞退されていないか

特に「供花辞退」の意向がないかは、最も重要です。
ご遺族の意向を最優先しましょう。

通夜・告別式のどちらに合わせるのが最適か

胡蝶蘭を贈るタイミングは、お通夜に間に合うように手配するのが理想です。
お通夜は、故人と親しい人々が最後の夜を過ごす大切な時間。
その場に美しいお花を供えることで、祭壇が華やかになり、故人を偲ぶ気持ちを深く表すことができます。

遅くとも、お通夜が始まる2〜3時間前には届くように手配しましょう。
もし間に合わない場合は、告別式の開始前までに届くようにします。

どこで注文する?生花店とネット通販の比較

胡蝶蘭の手配方法はいくつかありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

手配方法メリットデメリット
葬儀社に依頼・斎場のルールを熟知しており確実
・立て札なども含め全て任せられる
・選択肢が限られる場合がある
生花店・実物を見て選べる
・急な依頼にも対応しやすい
・斎場への持ち込み確認が必要
・配達料がかかる場合がある
ネット通販・種類が豊富で比較しやすい
・24時間いつでも注文できる
・実物を確認できない
・斎場への持ち込み確認が必須

もし迷ったら、葬儀を担当している葬儀社に直接依頼するのが最も間違いのない方法です。

注文時に必ず伝えるべき必須情報リスト

注文する際には、以下の情報を正確に伝えましょう。

  1. お届け先の斎場名、住所、電話番号
  2. 通夜、または告別式の日時
  3. 故人のお名前、喪主のお名前
  4. 立て札に記載する「表書き」と「贈り主名」
  5. ご自身の連絡先(注文者情報)

これらの情報をメモしてから注文すると、スムーズに進みます。

【完全解説】供花で最も重要な「立て札」の書き方

供花で最も大切なのが「立て札(名札)」です。
これは、誰からのお悔やみの気持ちなのかをご遺族や参列者に示すための、いわばご挨拶状の代わりです。

立て札の基本構成:「表書き」と「贈り主名」

立て札は、大きく分けて2つの要素で構成されます。

  • 表書き:お花の上部中央に記載される言葉。「供」や「御供」と書くのが一般的です。宗教によっては「献花」とすることもありますが、迷ったら「供」としておけば間違いありません。
  • 贈り主名:表書きの真下に、誰が贈ったのかを記載します。

【ケース別】贈り主名の書き方(個人・連名・法人)

贈り主名の書き方は、個人で贈るか、法人で贈るか、複数人で贈るかによって異なります。

  • 個人で贈る場合
    • 自分の氏名(フルネーム)
  • 夫婦など連名で贈る場合
    • 夫の氏名(フルネーム)
    • その左側に 妻の名前(名のみ)
    • ※一般的には世帯主である夫の名前をフルネームで記載します。
  • 友人一同など複数人で贈る場合
    • 3名までなら、右から目上(年長者)の順に氏名を並べます。
    • 〇〇 〇〇
    • 〇〇 〇〇
    • 〇〇 〇〇

会社・法人として贈る場合の注意点

法人として贈る場合は、会社名と代表者名を記載するのが正式です。

  • 代表者名まで記載する場合
    • 〇〇株式会社 代表取締役 〇〇 〇〇
  • 会社名のみの場合
    • 〇〇株式会社

会社の部署や社員有志で贈る場合は、「〇〇株式会社 営業部一同」のように記載します。

連名で書ききれない場合の対処法

4名以上になる場合は、全員の名前を記載すると札が小さく読みにくくなってしまいます。
その場合は、以下のようにまとめましょう。

  • 〇〇大学 〇〇年度卒業生 有志
  • 株式会社〇〇 営業部一同

この際、お花とは別に、全員の名前を記載した手紙(香典)を添えると、より丁寧な印象になります。

これだけは押さえたい!胡蝶蘭を贈る際の3つの注意点

最後に、これまでのマナーを踏まえた上で、絶対に外してはならない最終チェックポイントを3つお伝えします。

注意点1:ご遺族の「供花辞退」の意向を最優先する

これが最も重要なことです。
ご遺族が、葬儀の案内状などで「御香典、御供花の儀は固くご辞退申し上げます」と伝えている場合があります。

これは、参列者に余計な負担をかけたくないというご遺族の配慮です。
その場合は、お花を贈りたい気持ちをぐっとこらえ、ご遺族の意向を尊重することが最高のマナーです。
無理に贈ることは、かえってご迷惑になってしまいます。

注意点2:宗教・宗派による供花の違いを理解する

ほとんどの仏式や神式の葬儀では胡蝶蘭は問題ありません。
しかし、キリスト教式の場合は注意が必要です。

キリスト教では、そもそも祭壇に供花を飾る習慣がなく、生花はご自宅に贈るのが一般的です。
また、教会によっては外部からのお花の持ち込みを一切禁止している場合もあります。
必ず事前に教会や葬儀社に確認を取りましょう。

注意点3:斎場(葬儀会場)のルールを事前に確認する

近年、葬儀全体の統一感を出すためや、運営上の理由から、指定の葬儀社以外からの供花の持ち込みを制限している斎場が増えています。

ご自身で生花店やネット通販を手配する場合は、必ず注文前に「外部からの花の持ち込みは可能ですか?」と斎場(または葬儀社)に確認することが不可欠です。

まとめ

今回は、お葬式に胡蝶蘭を贈る際のマナーについて、専門家の視点から詳しく解説しました。

最後に、大切なポイントをもう一度振り返りましょう。

  • 胡蝶蘭は「清純」という花言葉や品格、機能性からお悔やみの花として非常に適している。
  • 色は「白」を選び、相場は個人なら1.5万〜3万円、法人なら2万〜5万円が目安。
  • タイミングは「お通夜の開始前」に届くように手配するのが理想。
  • 立て札は「供」または「御供」とし、贈り主名を正確に記載する。
  • 最も重要なのは「供花辞退」の意向がないかを確認し、ご遺族の気持ちを最優先すること。

たくさんのマナーをお伝えしましたが、これらはすべて、故人を敬い、悲しみの中にいるご遺族を思いやる心から生まれたものです。

最も大切なのは、あなたの「故人を偲ぶ温かい気持ち」です。

この記事が、あなたの心からのお悔やみを、失礼なく、そして温かく伝えるための一助となれば幸いです。
自信を持って、大切な方への最後の気持ちをお届けください。